車を売る・買う選択肢として、売主と買主が直接売り買いを行う、個人売買を検討する人が増えています。
専用のアプリやサービスサイトも増えてきました。しかし、本や服、家具をフリマアプリで売り買いするのとは異なり、中古車の個人売買には多くの必要書類や、名義に関わる手続きがあります。
ここでは、個人売買の流れや、書類を用意するうえでの注意点をご紹介します。
■車の個人売買では、書類を不備なくそろえることが必要
■書類準備や手続きに不安があるなら、自動車買取店でサポートしてもらう選択肢も検討しよう
車の個人売買が増えている
近年、車の個人売買が増えています。メルカリなど、中古の日用品を直接売るフリマアプリの普及で、モノを個人間で売買することへのハードルが下がっているという社会の流れも影響しているでしょう。
個人売買では、業者の買取と再販売をカットし、買主に直接車を売り渡すため、買主にとっては「中古車を安く買える」、売主にとっては「愛車を高く売れる」という期待があるようです。
高く車を売るなら、個人売買の検討にスーパーリセール査定を活用
今乗っている車を高く売りたいなら、個人売買を検討する前にまず、「買取業者に買い取ってもらうとしたら、どのくらいの値段になるのか?」という買取査定相場を知っておくことをおすすめします。今の車の中古市場での相場がわかっていれば、「個人売買が買取業者より本当におトクなのか」検討がしやすくなります。
この「買取査定相場」の把握に便利なのが、つくね社長の「スーパーリセール査定」です。
スーパーリセール査定では、氏名や住所などの個人情報は必要ありません。車の年式、グレードなどの必要な情報、そして写真をLINEで送るだけで、おおよその買取査定相場を教えてもらえます。
車の個人売買の流れ
車の個人売買の流れは、一般的に、以下の手順で進みます。
- 車の状態確認と合意
- 支払いと車両の引き渡し
- 書類に基づく名義の変更
- 保険の手続き
知り合いどうしの個人売買は、相手が決まっていますので、さっそく1.車の確認と合意を始めればOKです。しかし、「車を高く売りたい」場合は、インターネット上で、車の個人売買専用のプラットフォームなどを用いて、不特定多数から買主を募ることになります。
車の個人売買ができる代表的なプラットフォーム
車の個人売買に利用できるプラットフォームはさまざまなものがありますが、代表的なものとして、カババ、ガリバーフリマ、アンカーの3つがあげられます。ここでは、おもに車の売主側から見たそれぞれの特徴をご紹介します。
カババ
カババは、手数料の安さとサポートの手厚さの両立が特徴の、車の個人売買プラットフォームです。主に購入者から手数料を取るビジネスモデルとなっており、出品者のシステム利用料は無料です。実店舗はなく、所属スタッフが出品者のもとへ出張し、写真撮影や、値付けのアドバイスを行ってくれます。
購入者とのマッチングが成立すれば、出品者に代わってカババが代金のやりとりや車のお届けをしてくれます。有料で、書類の手続き代行のサポートも受けられます。
ガリバーフリマ
ガリバーフリマは大手の中古車販売店・ガリバーの運営会社IDOMが提供している個人売買サービスで、大手の安心感が魅力です。2つの取引方法が選択可能で、1つは金銭授受のみガリバーフリマが代行し、残りのやりとりや車の受け渡しまですべて出品者と購入者が直接やりとりする「直接取引」。
もう1つは、ガリバーの店舗を利用し、書類の確認や車の引き渡しサポートを受けられる「仲介取引」です。仲介取引のほうが、手数料が高くなります。
アンカー
アンカーは、個人売買の利用、中古車買取依頼、両方を検討しやすいサービスを提供している事業者です。とくに特徴的なのは「おまかせ出品」サービスで、売主が提携整備工場に車を預けると、洗車や点検のうえ、30日間個人売買をアンカーが代行します。
成約したら個人に売却、成約しなかった場合は、返却(有料)かアンカーへの買取・オークション代行を選ぶ仕組みです。
車の個人売買で必要な書類とは?
車の個人売買で必要な書類は、基本的に、買主側が2種類、売主側が7種類あります。売買する対象が普通自動車か軽自動車か、また、個別の取引状況により、多少の増減があります。お住まいの地域の運輸支局に問い合わせるなどして、必要書類を確認しましょう。申請書をダウンロードできる場合もあります。
なお、個人売買は口約束だけでも成立しますが、念のため、必要書類とは別に契約書を用意し、契約不適合責任(合意内容と車の状態や手続きの流れが異なった場合どうするか)などを盛り込んでおくと安心です。
買主が用意する書類
個人売買で買主が用意する書類は、普通乗用車の場合、基本的に以下の2種類です。自動車保管場所証明書(車庫証明)は書類提出・現地調査・証明書発行の手順を経るため、発行に時間がかかります。注意しましょう。
- 実印と印鑑登録証明書…居住市区町村の窓口や発行機で入手
- 自動車保管場所証明書(車庫証明)…居住地域を管轄する警察署で入手。警察署の現地調査が必要
軽自動車を購入する場合は、どちらも必要ありません。ただし、住所の確認書類(住民票の写しなど)が求められるほか、地域によっては、管轄の警察に「自動車保管場所届出書」を提出することが必要です。
売主が用意する書類
車の個人売買で売主が用意する書類は、基本的に以下7種類です。買主より多くの書類をそろえる必要があります。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)
- 自動車納税証明書
- 譲渡証明書…各地域の運輸局などで書式を配布。実印を押す必要がある
- 委任状…車の移転登録を買主に委任するための書類。国土交通省ホームぺージから委任状のひな形をダウンロード可能
- 実印と、印鑑登録証明書…居住市町村の窓口や発行機で入手
- リサイクル券A.B
車の個人売買で必要な書類を取得するための費用
車の個人売買に必要となる書類の取得費用について解説します。
まず、必ず費用がかかる書類は以下の2つです。
- 印鑑登録証明書 300円程度(市区町村、発行場所による)
- 車庫証明 2,500円~3,000円程度(申請手数料、標章の交付手数料)
※ 月決め駐車場などの場合保管場所使用承諾証明書の費用が0~30,000円程度必要
※ 取得代行を依頼する場合は代行費用が10,000~30,000円程度必要
そのほか、売主が所持しているはずの書類がない(紛失)している場合は、再発行のために手数料がかかるものがあります。
- 自動車検査証…印紙代300円
- 自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)…基本的に無料
- 自動車納税証明書…基本的に無料。普通車は地域の自動車税事務所、軽自動車は居住市町村の窓口や発行機で再発行
- リサイクル券A.B…無料。再発行ではなく、自動車リサイクルシステムのホームページから印刷
最新の料金は、お住まいの市区町村や運輸支局のホームページなどで確認しましょう。
車の売買に必要な書類を用意できなかったらどうなる?
車の個人売買で必要書類を用意できなかった場合、原則交渉は中断となり、取引売買は成立しません。書類が不足していると、車そのものの受け渡しはできても、移転登録(いわゆる名義変更)ができないためです。
車の買主(新所有者)は、車を所有してから15日以内に移転登録をすることが、道路運送車両法の第13条で義務付けられています。移転登録のための必要書類がそろわない・渡すのが遅くなると、納車も名義変更も遅れることになり、トラブルに発展することもあります。書類はきちんとそろえましょう。
車の個人売買で、書類の準備が面倒だったらどうする?
車の個人売買で書類の準備が面倒なら、プロの手を借りるという手があります。一般的な個人が車を売り買いする機会はそう多くありませんが、日々、数多くの車を扱うプロは、書類の請求や扱い、ポイントをおさえた書き方、チェックに慣れています。
プロの力を借りれば、書類準備、名義変更などの手続きについて、わずらわしい部分を任せてしまえるので、楽になるでしょう。
車の売買で書類の準備をプロに助けてもらうには、おもに3つの選択肢があります。
ディーラーに下取りしてもらう
今の車を手放し、新車に乗り換えるなら、新車を買うカーディーラーで下取りしてもらうのが、もっとも書類・手続きの面倒を減らせる方法です。ディーラーの担当者に、売るための書類、買うための書類、まとめてすべてサポートしてもらえます。代金の受け渡しも一度にまとめて行えます。
買取店に買取してもらう
中古車の買取店に車を買い取ってもらう場合、買主は買取店です。買取の担当者が、売却用の書類をそろえ、手続きするサポートをしてくれます。基本的に、売主と同じ生活圏の中古車店舗に売却することになりますから、店舗の買取担当者は市区町村の窓口や警察署の管轄、書類の書き方も具体的に把握しているはずです。
指定機関から、委任状など、ダウンロードした書面を一式用意してくれている場合もあります。指示に従って記入や手続きをしていけば、スムーズに準備が整うでしょう。
個人売買プラットフォームに有料で書類・手続きを代行してもらう
一部の車の個人売買プラットフォームでは、書類の手続きや名義変更を代行してくれるサービスがあります。プラットフォームによって、基本料金にふくまれる手続き、有料オプション料金となる手続きが異なります。
よく確認し、どのサポート・代行を有料で依頼するのか決めて、代行を頼まない書類は売主と買主それぞれが責任をもって準備することが大切です。
売却前にスーパーリセール査定で相場を知ろう
車をどのように売却するかを検討するには、どのくらいの価格で売れるのか、そして、どの程度、書類準備や手続きを自分でできるのか、あわせて考えることが大切です。同じ程度の価格であれば、書類準備・手続きをかんたんに済ませられる中古車買取店のほうが良い、ということもあります。
そのためにも、今の車が「買取業者に買い取ってもらうとしたら、どのくらいの値段になるのか?」という中古車買取査定相場を知っておくことをおすすめします。この「買取査定相場」の把握に便利なのが、つくね社長の「スーパーリセール査定」です。
スーパーリセール査定では、氏名や住所などの個人情報は必要ありません。車の年式、グレードなどの必要な情報、そして写真をLINEで送るだけで、おおよその買取査定相場を教えてもらえます。
車の個人売買の書類のやり取りで注意しなければならないポイント
車の個人売買の書類のやり取りで注意しなければならない主なポイントとして、書類の有効期限、押印、紛失があげられます。いずれも、プロのサポートを受けるなら一緒に確認してもらえますが、車の売買に慣れていない個人が自分で書類をそろえる場合、見落としがちで、トラブルにつながりやすいところです。とくに注意しましょう。
書類の有効期限
車の移転登録(名義変更)のために使う書類には、有効期限内に発行されていることが条件になっているものがあります。たとえば印鑑登録証明書は発行から3か月以内、自動車保管場所証明書(車庫証明)は発行日から1か月以内のものです。
書類をそろえて個人売買のプラットフォームに出品したものの、なかなか買主がつかなかった場合は期限が切れてしまうことがありますし、逆に、個人売買のマッチングが成功してから用意しようとしたものの、発行場所に出向く時間が取れずになかなかそろわず、売主・買主の間でトラブルに発展することもありえます。
買主の移転登録が有効期限ぎりぎりにならないよう、タイミングに注意して書類をそろえましょう。
押印
普通車の書類の場合、使用できるのは、基本的に、印鑑登録されている実印のみです。ほかの印鑑で押印されたものは受け付けられません。また、実印を押した書類に、書き間違いで不備があり訂正する場合は、実印で訂正印を押す必要があります。
つまり、売主が買主に渡す実印つきの書類に不備があると、書類を一度戻してもらい、実印での訂正を押して再度渡すことになってしまい、このやりとりが個人売買のトラブルにつながりかねません。不備がないように書類を完成させ、適切に押印して受け渡しすることが大切です。
紛失
売主が用意する自動車検査証(車検証)、自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)、自動車納税証明書、リサイクル券A.Bは、改めて取得する書類ではなく、売主の手元にあるものを提出します。しかし、場合によっては、これらの書類を紛失していることもあるでしょう。
その際は、それぞれの発行元に確認し、再発行手続きや所定サイトからの印刷をしなくてはなりません。車を売ることを考え始めたら、後回しにせず、手元にあるか注意深く確認しておきましょう。なお、車の名義変更の申請に必要な書類をインターネット上でダウンロードできる場合もあります。
車の個人売買や書類準備、書き方が不安なら買取店に依頼しよう
車の個人売買には、多くの書類準備が必要であり、有効期限や書類不備時の対応などが厳密なため、ハードルが高いものです。
とくに、個人売買は相手も車の売買に慣れているわけではありませんから、書類上の行き違いがトラブルになることもあります。その不安解消と、車を高く売りたいという希望を両立するなら、中古車買取店への依頼がおすすめです。
中古車買取店には経験豊富なスタッフが揃い、書類の手続きも主導してくれるので手間がかかりません。仮に、もし書類に不備が見つかったとしても、買主として対応に慣れていますから、トラブルになりにくいという点にも安心感があります。
一方で、ディーラーの下取りより、中古車買取店のほうが、値段が高くつきやすい傾向があります。
そして、複数社から見積もりをとる、自分の車の買取相場を把握し、交渉して買取額をアップしてもらうなどの工夫で、結果的に、個人売買と比較しても見劣りしない買取額になることも十分にありえます。中古車買取店の利用も選択肢に入れてみましょう。
まとめ
車の個人売買は、車を高く売れる、安く買える期待から増加傾向にあります。しかし、車を個人売買するには、手続きや必要な書類について個人の責任でしっかりと理解し、不備なく準備することが大切です。これらが面倒な場合は、プラットフォームの有料サポートサービスを利用する、または個人売買ではなく買取店の利用も視野に入れるなど、プロのサポートをうまく使いましょう。
なお、買取店を利用する場合は、あらかじめスーパーリセール査定を活用し、今の車の買取査定相場をつかんでおくと、査定額アップの交渉に役立ちます。交渉次第では、満足いく買取額と書類のサポート両方を得ることできるでしょう。
※この記事は2023年11月5日時点の情報です。